ゴム加工RUBBER PROCESSING
ゴム成型加工(直圧成形・押出成形)
◆ゴム成型加工とは
金型を使い、ゴムを求める形にする加工を成形加工と呼びます。
この時に使用するゴムは、『ゴムコンパウンド』と呼ばれる、ゴム弾性を持たない未完成状態の材料を使用します。
ゴムの原料(生ゴム)は、その状態ではゴム特有の弾性がありません。
硫黄をはじめとした配合剤を混錬した後に、加熱することで化学反応を起こさせて分子構造を変化させる『加硫』という工程を経て、弾性のあるゴム製品になります。
ゴム成型加工は、ゴムコンパウンドを金型で成形しつつ、熱を加えることでゴム製品にする加工方法です。
金型の形状や圧力の掛け方などによって、成形加工はいくつかの種類があります。
ここでは最も一般的に使われる直圧成形(コンプレッション成形)と、押出成形について説明します。
◆直圧成形(コンプレッション)
計量したゴムコンパウンドを加熱した金型に入れ、加圧して硬化させる成形方法です。
ちょうど「たい焼き」をイメージすると分かりやすいかもしれません。
ゴムコンパウンドは加熱されることで加硫され、金型の形状を複写した状態で硬化して製品が完成します。
金型の材料が接触する部方に文字を彫っておけば、製品の表面にその文字を転写することもできます。
加工手順を簡単に説明すると、上型と下型の間にちょうど埋まる分量のゴムコンパウンドを投入し、加熱しながら加圧すると、熱で軟化したゴムコンパウンドが型の内部に行き渡り、加硫されて製品となります。
型の隙間から余分な材料が飛び出してバリが発生するので、仕上げ工程でトリミングして完成となります。
成型加工では初期費用として金型代が掛かりますが、金型を製作することによって大量生産が可能となります。
特に製作数が多い場合は、1つの型でいくつもの製品を加工できるよう、型の取り数を増やすことで生産のスピードアップと製品加工費のコストダウンが可能になります。
硬度や色調についても、様々な仕様で対応することができるのに加え、ネジやナットなどの部品を埋め込む『インサート成形』も可能です。
使用する用途に合わせた幅広い製品を製作することが出来ます。
※難燃性材料の場合は色調選定に制限が生じる場合があります
注意点としては下記の事項などがありますので、事前に綿密な打ち合わせを行うことが重要です。
・取り数の多い金型は型製作に時間が掛かり、取り数の多い金型ほど高額になる
・金型老朽化や、成型時に発生するガスによる腐食・サビが起因で精度不良や外観不良が発生する可能性がある
(金型のサビ取りやメッキ処理などのメンテナンス費用が発生する場合も)
・金型の保管に場所を取るため、製作依頼主が金型の保管を求められる場合がある
・難燃性材料の場合は様々な制限が発生する場合がある
◆押出成形
直圧成形と異なり、加熱・加圧した材料を口金を通して絞り出すことで、ロープ形状の製品を作り出す成形方法です。
ゴム紐だけでなく、中空形状 (チューブや隙間埋めクッションゴム紐)も製作可能で、建材や家電、乗り物などの分野でも幅広く使用されています。
パッキンやコーナーガード、バンパーなどのクッション材をイメージされると分かりやすいかもしれません。
規格品のゴム板もこの成形方法で作られています。
直圧成形と同様に、硬度や色調も様々な仕様から選択が可能で、難船性材料の場合に制限が発生してしまうところも変わりありません。
注意点としては、押し出したばかりの温度が高い状態だと、製品がまだ軟らかいために自重で下部分がつぶれてしまう場合があったり、中空形状の場合には上部分の凹みが発生しやすいなど、寸法精度を厳しく求める用途ではあまり適しません。
ただし、直圧成形と比べて金型は小さいので製作費用は比較的安価なため、大量生産に向いている成型方法と言えます。