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2022/05/27

TECHNOLOGY

【ベルト加工Blog】搬送ベルトのマーキング加工事例vol.2

こんにちは。営業部のMです。


前回のベルト加工Blogでは一つの製品をクローズアップして、マーキングの加工工程に沿ってご紹介してきましたが、今回のvol.2ではその他の加工事例について、様々なマーキング加工実績があることのご紹介をしたいと思います。


皆様のお困りごとに対して、何らかの参考となり、解決の切っ掛けになることが出来ればと思っていますので、ぜひ最後までお読み下さい。



目次



◆ベルト取付時のマークとして使用



まずはレジャー施設で使用されている、幅広サイズの特殊ベルトをご紹介したいと思います。


本来、ベルト回転方向の印字はベルト裏面に施すのが一般的ですが、幅寸法が約1500㎜と非常に大きなサイズのベルトになる為、設備への取付時に回転方向の印字を確認することが非常に困難だとのお悩みを抱えていました。




改善策として、回転方向の印字をベルト表面に入れて欲しいとの要望でしたが、印字機は黒色インクを使用しているため、黒いベルトではほぼ目視判別できない仕上りとなるため、通常の印字機が使用できない状況でした。


この為、白色マーカーを使用して手作業で矢印を入れる作業で対応を行うこととなり、リピート注文の際も矢印が同じ大きさに仕上がるよう、製造部で治具を作成しました。




この他にも、機械への取り付け時に印字確認を容易に行えるよう、印字機を使用してベルト表面へ印字を行っている実績もあります。
(黒色以外の色調が淡いベルトでの実績です)
小さなマーク等を入れる対応も可能ですので、文字・矢印以外もご希望の場合には、ぜひご相談下さい。






◆搬送物に合わせたマーキング



ピザ生地の搬送用としての用途で、手作業でベルトに生地を乗せる際、なるべく同じ位置に置けるように、ピザ生地のサイズに合わせた円状のマーキングが出来ないかとのご要望でした。


円径がΦ185と大きなサイズと、マーキング材料となるウレタンシートのサイズを超えてしまう寸法だった為、一繋ぎの円形でマーキングを行うことが困難と判断し、破線マーキングでの対応としました。


※写真はカットサンプル品


ご要望をそのまま実現するには困難な場合でも、なるべくご要望に沿った代替案を提示できる様に、細かい仕様打合せを行うようにしています。






◆機械に合わせたマーキング



光透過性が高い、透明ウレタン仕様のサンラインベルト『SL-Y045』へのマーキング加工例です。


ベルト端部の2ヶ所にマーキングを行い、マーキングを機械で検知させてコンベヤを停止させる仕様、とのことでした。




ベルト裏面から光を照射した際、マーキングの色調が薄くってセンサーが検知できない可能性があるとことから、なるべく色味が薄くならないように黒色マーキングで加工を行いました。




マーキングの色調は、ベースとなるベルトの色調で対応できる種類は変わってきますが、基本的には『黒・赤・青・緑・白』の5色から選択いただく事ができます。






◆その他マーキング



その他にも、様々な用途に合わせた幅広い種類のマーキング加工を行っています。
写真とコメントを添えて、簡単にですがご紹介したいと思います。


●縦・横マーキングの組み合わせ


縦線と横線を組み合わせて、格子状のマーキングを行う加工は、多くの実績があります。
その中で特殊な組み合わせとして、縦桟5㎜・横線20㎜と異なる線幅のマーキング加工事例です。




横線を斜めにした特殊な仕様ですが、こちらも問題無く対応することが出来ます。




縦線が黒・横線が緑と赤を交互に組み合わせた、色の使い方が特徴的な事例です。
線が重なる部分にも、ほとんど色滲みが発生することもなく、外観的にも綺麗な仕上がりで加工することが出来ました。





●図形と線の組み合わせ


カットサンプルの依頼を受けて製作した事例です。
白色ウレタンカバーのベルトに、縦線と角形状のマーキングを施したものと、含浸帆布ベルトに縦桟とドーナツ形状のマーキングを施しています。




図形のマーキングに関しては、溶着用電極型をマーキング形状に合わせて製作する必要がありますが、電極型を内製していますので、柔軟に対応することが可能です。
但し、電極型の製作にはある程度のコストが発生してしまいますので、ご注意下さい。


現状保有している電極型で対応可能な形状でご提案することも可能ですので、図形マーキングの採用を考えている場合は、ぜひご相談下さい。




●幅30㎜のマーキング加工


基本的に線形のマーキング加工は、5㎜~10㎜幅を推奨しています。
最大幅は30㎜までのマーキング加工が可能ですが、幅が広いほど熱をかける面積が広くなり、マーキングの滲みやズレ、ベルト収縮やフレア(波打ち)の発生が生じるなど、仕上りに大きな影響が出てしまうリスクが高くなってしまいます。


下の写真は30㎜幅のマーキングを、1PLYのベルトに加工した事例です。




この時はマーキングに滲みも無く、ベルトも大きな影響を受けない仕上りになくきれいな仕上がりとなりましたが、ベルトのLOTによってはいつもこのような仕上りにはならない事があるのが難しいところです。




●ウレタンベルト以外へのマーキング


綿帆布のSL-S8231Nと、ハビレンカバーのXJT-639へのマーキング加工事例です。


SL-S8231Nは綿の織目が強く出ていて凹凸のあるベルトの為、織目に沿ってマーキングの濃淡が発生しますが、滲みはほとんど発生しない仕上りで加工可能です。
綿帆布をはじめとした、インクジェットなどでは強く滲みが発生してしまうベルトに対しても、当社のマーキング加工ならば、影響を極力抑えた仕上りで実現できることが分かっていただけるかと思います。



XJT-639はハビレン(ハバジット社製-食品基準完全適合の熱可塑性ポリオレフィン)でカバーされたベルトです。

ハビレンは非付着性が非常に高いという大きなメリットがありますが、非付着性が高い故に、カバー面への付帯加工が非常に難しいベルトになります。

しかし、当社のマーキングは、ベルトをつなぎ合わせるエンドレス加工で使用する、ベルトと同素材のシート(色調のみ異なる)を使用していますので、ハビレンカバー面にもマーキング溶着が可能となっています。




●パターン付きベルトへのマーキング


ベルト表面にパターンが施されて平滑ではないタイプへのマーキング加工も対応可能です。
但し、電極型を使用した溶着加工の為、マーキング部の周囲にも熱が加わり、電極型が当たる部位のベルトパターンは潰れてしまいます。


尚、パターンが潰れてしまっても、ベルト表面が平滑になるだけで、マーキング形状に影響は生じませんのでご安心ください。




マーキング形状によっては、ベルトのパターンと同じ形状のゴム型を使用することで、パターンの潰れを最小限に抑えることも可能です。
パターンの潰れを極力抑えたい場合は、ご希望のマーキング形状を添えて事前にご連絡いただければ、対応可能かを確認することもできますので、ぜひご相談下さい。




上の写真は布目パターン付きのサンラインベルト『SL-F1204』で潰れ防止のゴム型を使用した加工事例です。
パターンの潰れは抑えられていますが、加工部のパターンが乱れてしまったり、マーキングにも滲みや乱れが生じてしまうデメリットがあります。
パターンの維持か、マーキングの鮮明さか、どちらを優先するかはご使用状況に合わせて、選択いただく必要があると思います。






◆短納期加工の対応事例



納期最優先でマーキング加工ベルトが欲しいとの相談をいただいた事例のご紹介です。


機械の出荷日程が決まってしまっているが、四角マーキング10ヶ所が入ったベルトを大至急で対応して欲しいとのご相談でした。


図面要求では、四角塗り潰す形状のマーキング加工でしたが、その加工の場合だと熱をかける面積がとても大きくなるため、ベルトにフレア(波打ち)が大きく生じてしまうこと、また工数もかなり必要となってしまう事で、納期的にも品質的にも厳しい状況であることご説明。


製品の使用上、フレア(波打ち)は極力抑えたいとのご要望であった為、中抜きの四角形状マーキングで対応する形で検討を進めました。


加工については納期最優先の為、保有している電極型での加工で検討しましたが、汎用型を使用するとフレアが発生する可能性が高い為、専用の電極型を製作して対応する形で最終的な提案を行い、ご採用となりました。




専用の電極型(溶着型)を製作する工数を抱えながらも内製しているメリットを最大限に活かし、受注から製品完成までを実働10日程度で進められたのは、電極型(溶着型)を内製するというメリットを最大限に活かせたからだと思います。


当社では、ご指定のマーキング加工をお受けするだけでなく、希望納期にマッチできるよう、ご要望に出来るだけ沿った形状・加工での提案も行っています。


「納期に間に合わせて欲しい!」

「治具製作費を抑え、出来る限りコストを抑えたい!」


お客様の声に可能な限り当社は応えられるように、最適なご提案を致します。
ベルト加工で困り事がありましたら、ぜひ当社にご相談ください。




搬送ベルトのマーキングについて、基本的な加工の紹介や、工程に沿った詳細な作業工程紹介、マーキング加工の提案を実際に行った事例紹介などについて、下記リンク先のページにも掲載しています。

マーキング加工に興味のある方は必読です!
まだご覧になっていない方は、ぜひこちらもご覧下さい。

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